水玉屋

気の狂った腐女子が自分語りしたり解釈吐いたりします。

⑤斎藤ルートの成長

 斎藤一は忠義者で冷静沈着で無口、一見して氷のように冷たい印象を受ける。 ……かもしれませんかこのCV鳥海浩輔、実はとんだ剣術バカの熱血漢、なおかつ頑固でなにより我が強い!!!!(クソバカ大声)(個人の見解です)  ぱっと見はイメージカラー藍色、表情も平坦で顔もよく見えないし露出も少ない!けど!我がめちゃくちゃに強い……  それ故に斎藤は長らく自分がなにより打ち込んでいる剣術の世界でも爪弾き者でした。それを近藤、土方に救われたからこそ、浪士組として上京してきたわけではない彼はあとから「あの人達の力になれるなら」と恩返しもあって浪士組に参入します。

 龍之介との関係を表現するのはとても難しいです。友人や先輩、兄貴分はもちろん、師匠というにも離れている、遠すぎず近すぎず、斎藤の他人との距離の取り方がよく見える話です。  しかしだからといって突き放しているわけではありません。他人のまま、しかししつこく嫌がる龍之介に剣術を教えてみたり、何かにつけて構います。  それは多分、斎藤も龍之介に自分の過去を重ねていたからではないでしょうか。

 誰からも認められず、どこにも属せず放浪する。そんな龍之介にいつか自分が近藤達に教えてもらった「好きなことで認められる喜び」というものを自分も教えてやりたい、と不器用ながら思ったのかもしれません。  だからこそ、近すぎず遠すぎず、"爪弾き者"の先達らしく、少し遠くから、でも斎藤の全力で龍之介と関わり、背中を押します。

 平助と同じく攻略対象の中で最も年が近い組み合わせの一つでもあるのですが、比較してみると何もかもが異なっていて面白いです。  また、斎藤の他人との関わり方だけでなく、昔からの仲間、友人、そして恩人への態度もよく見えるのがこのルート。特に正反対なようでいて「剣術バカ」というお互い最も譲れない一点において息が合う永倉への態度、や、クライマックス、恩人である土方に対し真っ向から「我を通す」斎藤の姿は(本編をやった人からすればそうでもないかもしれませんが)キャラクターの第一印象を気持ちよく覆し、斎藤もまた「薄桜鬼」という泥臭い、青臭い物語のメインキャラクターなのだと再確認させてくれます。

 また、斎藤ルートだけが龍之介との別れのシーンで陽の下にいます。やり取りは物騒なものですが、交わされる感情のあたたかさにはぐっと来ます。 「誰からも認められず生きていた」二人は一見孤独な生き方を選んだようにも見えますが、斎藤には仲間が、そして千鶴が寄り添うようになり、龍之介も斎藤にとっての剣術のように打ち込めるものを見つけ、それを通して世の中と関わっていきます。 「爪弾きもの」が「自分の本分」を見つけ世界とつながっていく。自分にとって心地よいつながり方を見つけた二人の物語は「単品でも物語としての完成度が高い」と黎明録中屈指の人気を誇りますが、それは決して斎藤一というキャラクターの魅力に頼り切ったものではなく、一つの成長物語としての面白さが評価されてのことだと私は思います。