水玉屋

狂いたくないオタク

語りになった

 ツイッターで解釈や萌え語りを吐き出すことも小説を書くこともできなくなってしまいとりあえず自分の考えをまとめておこうと始めたブログですが、記事を一本書いてみたところ色々個人としてはじめに宣言しておきたいことが出てきたので書いておきます。


 黎明録が好きです。


 だけだとさすがに伝わらないかと思うので、以下、つらつらと自分語りをしていきたいと思います。


 歴史物が好きです。特に日本の、歴史を元にした物語が好きです。ずいぶん前に創作歴史に手を出したこともありましたが結局はやっぱり誰かが歴史を元に作った話を読むのが好きだな、と思い出戻ってきました。

 司馬遼太郎から戦国BASARAまで(司馬遼太郎がBASARAと対極に位置するものなのかという議論についてはここでは置いておきたいと思います)割となんでも好きです。

 歴史創作作品好きの方にも色々いるかとは思いますが私の場合はとりあえず、制限がある、というのが好きなんだと思います。制限ではなくても、なにか自分の知っているものをベースに作られている、ということに安心感を覚えます。

 BASARAのようにかなり歴史を曲げたり、誇張したりしているものも楽しく消費しますが、多分一番好きなのは一般に正史と思われているものをあまり大きくは曲げないものだと思います。登場人物たちがどう足掻いたところで、とにかく表向きにはこうなってしまうのだ、大きな流れは変わらないのだ、というところが好きです。同時に、その大きな流れは人物たちのこういった動きによって作られていった、というような話も好きです。


 薄桜鬼と出会ったのは多分発売前、学校帰りに買った漫画に挟まっていたGirl’sStyleの広告で、でした。新選組もののゲーム、というのはその広告だけで分かり、また(恐らくは椅子に座っている洋装土方の絵だったので)この人は土方さんだろうな、となんとなくあたりをつけたのを覚えています。

 その時点では確か、銀魂から幕末を知り、BASARAから戦国を知り、で司馬遼太郎浅田次郎木内昇、秋山香乃さんらの歴史小説や、黒乃奈々絵さんのPEACE MAKER、あたりを読み、創作歴史をちょっと齧り始めたところだったと思います。お小遣いはあまり多くはありませんでしたが、当時は図書館で小説を読んでいられれば満足だったので(今は見る影もありませんが)、貯金もそこそこにあったのでさして考えず取り上げず限定版を予約だったかしました。(PS2はBASARAのおかげで持っていたのも大きかったと思います)


 乙女ゲームは初めてでしたが、夢小説を読み書きしていたのもありその辺については抵抗なく入り込めました。誤字脱字などを除けばおおむね楽しくプレイしたと記憶しています。恐らくはじめに読んだノーマルエンドがドンピシャで好みだったのがでかい。

 そして風姫にハマり、幾つかの小説を書き当時やっていた夢小説サイトにあげたり絵を描いたりしながら、それでも熱は全クリしてから半年程度で落ち着いたと思います。

 随想録を買ったのは、発売から数ヶ月経ってからのことでした。しかも恋愛要素にそこまで物足りなさを感じていなかったこともありほとんどクリアせずに積みゲーにしました。それでもほどなくしてアニメが始まり、友人の何人かがハマってくれたこともあり友達同士で絵を描いたりして、割と楽しんでいた記憶があります。

 碧血録が始まって少しした頃、初めて店舗特典というものを認識しアニメイトで予約した黎明録が届きました。BLDもそれなりに読んでいましたがそこまで好きでもなかった私は随想録やってないし……とそれも積みました。プレイし始めたのは碧血録が終わって年が明けてからだったと思います。


 いつものように、なにも考えずに選択肢を選んでいきノーマルバッドを読み、お? となりつつはじめにやったのは沖田ルートでした。夢中になりました。

 薄桜鬼の沖田がどういう経緯で近藤さんにあそこまで執着し、土方に対する複雑な態度がどんな気持ちから来るものなのか。自分の、普通の人間とはズレてしまっている部分を沖田自身はどう捉えているのか。そうして沖田は、まだ人を斬ったことさえなかった浪士組の沖田は、どうしてあの、無印で出てきた、千鶴が出会った沖田になっていったのか。

 それが、井吹龍之介との出会いでもあったと思います。沖田を見つめる井吹はあまりにも普通の青年です。当時まさに反抗期真っ最中だった私には直視し難いほど、弱くて、口ばかり達者で、生意気で偉そうで……

 でも、とても強い沖田と弱い井吹が似ているというのはすごく面白いな、ちょっとわかるな。なるほどな。

 沖田ルートだけを終えた時の感想は、そんな感じでした。


その次にプレイしたのは、斎藤ルートでした。

 これは正直、何度コントローラーを放り出してクッションに顔を埋めて叫んだかわかりません。


 龍之介の!!言動が!!(なんでかはよくわからないけど!!)見ていられない!!!!


 ……恥ずかしくて堪りませんでした。今思うと自分の言動をより客観視する一つのきっかけでもあったと思います。当時の自分については今思い出しても恥ずかしくて顔から火が出そうです。もうじき高3、受験生となるというのに、高2の秋に部活を引退して、人間関係も整理して、ただ無為に何冊もの本を読みふける(成績は御察しの通りです)自分がよくする言い訳が、出てくるのです、そのまま。

 でも当時はそんなこときちんと受け止めるだけの思考もなく、ただこいつを見ているとめちゃくちゃつらい……という理由で井吹が若干嫌いでした。そうですドラマでもアニメでもバラエティー番組でも人が恥をかくことが予想される前振りがあるの全力で耳を塞ぎ目を瞑るタイプの人間です。


 でも、私が羞恥で死にかけながらゲームをしていくと、龍之介は段々と自分に向き合っていきました。寝食も忘れるほど一つのことに、自分というものから逃げずに打ち込み、そうして周りの人にも認められて、自分自身のことも認めてあげられるようになって、斎藤のことも、実感をもって少しずつ理解していきました。そして、とうとう自分の道を切り開きました。

 最後の「斎藤の妻」の十六夜挿話では少し涙ぐんだ記憶があります。斎藤の導きによって「死」を描いていた龍之介の道は拓かれ、その道の先で龍之介が産み出したものが伴侶を得た斎藤の、そしてその隣にいる千鶴の道を照らすことに。


 この時点ではまだ、それぞれのルートの話が本編と繋がっていて面白いな、と別々の話として読んでいました。

 当時は週末しかゲームに触れられなかったこともあり、面白かったな、という感覚を一週間ずっと反芻して楽しんでいました。


 なんかここまでで想定外に長くなってしまったので端折ります。端的に言うと途中ネットで土方ルートクリアしたら芹沢ルートあるで! という情報を得て原田ルートと藤堂ルートをクリアしたところでデータが吹っ飛びました。あれー?と思いつつ読み返しの意味も込めて強制スキップで全ルートやりなおし、土方ルートに入り、「貴様は鬼になれ」のシーンが終わったあたりで




 データの上書きができなくなりました。




 当時はあと1年ほどで高校を出るということもありなるべくお金は使わないで貯金して過ごしており、またまだルートごとに別々の話として読んでいた。無印と違いどのルートでも起きるイベントはほぼ同じで若干飽きが来ていた。もともと週末しか触れないため、ゲームができなくなったことに対する飢餓感がなかった。などの理由により、私は黎明録を中断しました。


 殴ってやりたい。あの頃にハマっていれば今やもう手に入らないだろうサンプルだけがネットの海を漂っているあの本やこの本だって読めたかもしれないのに。すでにジャンルを移ってしまったあの方のツイートがリアルタイムで読めたのに。と思ったこともありました。

 でも多分いまの私がこんなに長く、こんなに充実した気持ちで黎明録を好きでい続けられているのは、そのあとにハマったSevebth Blood Vampire、平清盛や艶が〜る、忍たま、そして黎明録に再燃する直前に(コレクターとしての血が騒ぐ的な意味で)熱を上げていた刀剣乱舞があったからなんだな、ということに気付いてからはハマったのが今でよかったな、と思います。


 そう、大学に上がって出来た友人の勧めから、私は忍たまにハマりました。推しは雑伏ですが、一年生からプロ忍、城主たちまで割とオールキャラに楽しみ尽くしました。その中で、そうです、忍ミュ、に行きました。


 楽しすぎて気が狂うかと思った。


 いわゆる2.5次元舞台を観たのは中学生の時に舞台好きな母がチケットを取ってくれたBASARAの舞台以来でした。(余談ですが今は落ち着いているものの母はヅカオタ歴40年の猛者で、私も小さい頃からよくわかっていないまま劇団問わず色々連れて行ってもらいました。BASARAに連れて行ってもらったのも多分チケットサイトで娘がハマってるゲームのタイトルを見かけたからとかだと思います)


 荒牧さん、いらっしゃるじゃないですか。

 イープラスからね、メールが、来るんですよ。2015年の、3月。

「ミュージカル薄桜鬼 黎明録に荒牧慶彦さん出演決定!」

 あ、薄桜鬼も舞台になってるんだ。黎明録って途中でやめちゃったけど面白かったな。荒牧さんって仙蔵の人だよね。一緒に行く人がいたら行きたいな。

 そんな風に、軽く考えていました。


 忍たま布教されて忍たまハマったあと、私が別に布教して忍たまハマった友人がね、まあ仙蔵推しで荒牧さんが好きだったわけですよ。


 チケット、取れました。

 東京楽前日の日でした。


 舞台に行く前に、黎明録全クリしとこ。

 軽く、軽く考えていました。


 PS2が使えなくなったので、黎明録のソフト自体は友人に長らく貸していました。ので久しぶりに会って返してもらい、和やかにその場は終わりました。


 プレイしたのは、返してもらった2週間後とかだったと思います。初日まで一ヶ月を切った。とりあえずやらなきゃ、と新しく買ったメモリーカードにデータを入れて、恐らくは舞台で芹沢ルートに次いでメインとなりそうな、土方ルートをやりました。


 気が狂うかと思いました。


 どうして気が狂うかと思ったというかその後そのまんまじわじわとSAN値を削られ最終的に気が狂ってしまったのかという話をするとまた長くなるので割愛します