水玉屋

狂いたくないオタク

②ノーマルルートのすゝめ

ノーマルルート

 適当に選択肢を選んでいくと大抵は斎藤ルートバッドかこのルートに入ります。「ノーマルバッド」と呼ぶ方もいますが、ここではあえて「ノーマルルート」と呼称します。  簡単にいうと、まあ井吹は死にます。いわばこれは打ち切りルート。しかし私はどうしてもこれをバッドエンドとは呼びたくない。

 なぜならこれは井吹龍之介の本質の話だからです。もちろん、井吹は人間、しかもいろんな可能性を秘めたキャラクターですから一口に本質といっても色々あります。  これはそのうちの一つ、「武士としての井吹龍之介」の話です。あるいは「情を移した相手を放っておけない、助けたがる」というのもあるかもしれません。  この本質は、このルート以外でもちょくちょく顔を見せますが、このルートの井吹龍之介はそれをもう否定しません。誰とも別段交流を深めなかった井吹は、しかしたかだか3ヶ月ほどを共に過ごした人々のために自分の命を捧げます。

 見所はそこにもありますが、このエンディングの真髄はその後、視点が井吹を離れる「十六夜挿話」という主人公以外のキャラクターから見た話のうちのひとつ。  井吹の死を見届けた人物は、井吹龍之介という青年の生き様を、死に様を、どう評価するのか、それになにを思い、どんな反応をするのか。

 打ち切りエンドでありながら単品でも十分に楽しめるクオリティ、最後のシーンのカタルシスは薄桜鬼に触れたことがある人間ならたまらないものがあります。  また、共通ルートから個別ルートに入ると長いため、初プレイ時にこれを見ておくとその後の攻略で共通ルートの既読スキップができるようになりつつ、1週目もまとまった物語として楽しめる、という利点があります。  本編プレイ済みで初めて黎明録をされる方にはオススメのルートです! (ただし薄桜鬼本編のゲームにもアニメにも触れてこなかった、黎明録から薄桜鬼に入る。という方は、隠しルートをプレイした後の方がオススメです)