水玉屋

狂いたくないオタク

You'll bite.振り返り

※自分用メモ

◯タイトル

・「お前の犬になってやる」ってセリフが最初にあったのでそれに合わせて犬とか噛む系の言葉を探して「I'll bite.(お前の提案に乗ってやる)」がいいな〜と思ってもじったやつ。候補としてはballet系のもかっこいいなと思った。また退治人時代のヒヨシの小説作ることがあったらなんかやってみたいな。
 カズサのセリフ。冒頭だけカズサ視点なのもこれ。最初はヒヨシと手を組んだ時の「まあこいつあとで伏せてたこと知ったら噛み付いてくるだろな(まんまの意味)」で最終的には「お前は俺の提案に乗るよ(いつか吸対に来るよ)」になる、みたいな……?? 英語得意じゃなくて単にもじっただけだからこの言い回しに「提案に乗る」ってニュアンスはないし多分英語できる人から見たら変なタイトルなんだろなと思う。でも気に入ってる。カタカナ英語的な感じで見て。

◯表紙

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・横書き横画像? と見切れ英字が使いたかった! でもあんまり参考になる本の装丁が見つからなかった。横だとやっぱりタイトルみにくいもんね。原田マハの「アノニム」文庫版の表紙の影響をめちゃくちゃ受けてる。初期案から黒の縁をつけたの完全にそれ。そこから縁のレイヤーカチカチいじってたらいい感じにこう白い領域が発生してそれが綺麗だったし、タイトル二箇所の白と黒の反転が話の中身にも合ってるかなと思ってこうなった。

・7巻カバー下がめっちゃ好きなのであの週バンのヒヨシの背景に近いところの写真を使いたかった、けどなんかこういい場所が見つからず。山の稜線が見えてるから北口の方から南口方面を見ていると思うんだけど。あと高いところの撮影スポットって見つかりにくくない? 難しい。
 でも歴史ジャンルにいた頃からずっと写真表紙はやってみたかったので嬉しい。満足。

・あとちょうど本文書き上がって表紙の写真そろそろ撮りに行きたいなーと思ってたタイミングで仕事でコンデジでいいからカメラあると便利だよ〜て言われて仕事のためだけに数年でスマホに性能抜かされるくらいのカメラ買うのもなーって思って思い切ってちょっといいコンデジ買った! センサー1インチあるやつ! なんやかんやで20000円くらい引いてもらえたのでラッキー🤞 SDやらストラップやら三脚やらも買った。画面保護のフィルムは要らなかったような気もするけど満足!

・ずっとカメラ欲しかった。中学生のときお小遣い貯めてやっすいコンデジ買った。pixivにある10年以上前の小説の表紙とかそれで撮ったやつ。5年くらい使ってスマホ持つようになったら使わなくなった。電気屋でバイトしてたとき担当してたとこの隣のコーナーにカメラがあってミラーレス一眼買うかかなり悩んだけどさすがにお金が出せなかったな〜
 いまは一眼だと重くて取り回し疲れるなというのと旅行に気軽に持っていきたかったのでコンデジ。今のところ不満はないけど5年先でも使ってたら次はワンランク上のやつほしい! センサーサイズ一個上のやつ!

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・カバー下の表紙候補三種。今回はページ数とか部数の関係で値段はこの辺にしたいな〜っていうのに合わせるとワンブ使えなかったので表紙は白の予定だった。白でシンプルな表紙だと寂しいかなと思ったのでちょっと柄は強めにした。
 最終的にやっぱり薄い本文用紙が使えるとこがいいなとなって表紙はクリーム上質紙のセピア系カラーになった。

◯中身

・書こうと思ったきっかけは完全に「犬」って言葉を使いたかったから。警察とか公権力に対して使われることが多い単語をこう、逆にこう、比較的自由な退治人であるヒヨシに不自由な立場なはずのカズサが言わせるという構図が見たかった。自由なようで本当は誰よりも不自由なヒヨシが好きなので……

・書きたかったのはヒヨシ→カズサの二人称が「おまえ」なのヤバくない? あたり、ヤバくない? ヤバ……(語彙力)

・ロナくんの「一人で抱え込んで」とヒマリちゃん過去回の「人知れず苦労」の悪魔合体、ヒヨシの「人知れ」ぬ苦労をロナくんは(たとえ一部だとしても)知っていて、だから「一人で抱え込んで」って言えたのでは?

・っていうあたりというか、ロナくんが中高生自体の話をヒヨシ過去本ではしっかり書けなかったな〜ということが心残りだったのでその辺にも触れられる本を出したかった。

・でも書いてる途中で本誌で「兄ちゃん、なんで泣くの?」(どんなに早くても中一終わり)と半田くん過去回(半田くんの背が伸びるより前にカズサはシンヨコに馴染んでる)が来たので最終的に7割くらいまで書いたところで一回全部書き直して、ロナくんがヒヨシの苦労を察しているというところはかなり薄まった、ような気がする。今回はロナくん中一春〜夏の想定で書いたのでまたそのうちロナくん中二〜高一くらいの話が書きたい。

・あとはヒヨシ→ロナヒマの「そこにいてくれるだけでいい」とロナくんの「兄のためになにかしたい」というすれ違いの始まりが書けてたらいいな〜(自分が読み返すときに思い出せる程度には)と思ってる。

・ヒヨシは「そこにいてくれるだけでいい」という気持ちを最後に飲み込んで言葉にしないからロナくんには伝わらないし、ロナくんの「兄の助けになりたい、兄のためになにかしたいし、兄のことが大好き」という気持ちはヒヨシにはいまいち届いていない。(キーホルダーのくだりとか、ヒヨシが弟妹に愛されてる自覚が薄いことが書きたかったんだけどちょっと不自然なシーンになってたかもということが気になってる。あの辺はなに書いたか忘れるころに読み返したい)

◯プロット

・ヒヨ本が本当に行き当たりばったりで書いてクライマックス以降の書きながら調整とか最後の推敲とかで地獄を見たので今回はちゃんと最初からしっかり決めて書こうと思って手をつけた。

・参考にしたのは「ストラクチャーから書く小説再入門」、尊敬してる字書きさんに直接おすすめされた? 全員向けにおすすめしてた? ちょっとよく覚えてない、とにかく好き字書きセレクト。わかりやすかった。

・っていってもちゃんと全体のバランス意識してプロット立てて書いてってやったことなかったのでこう……見様見真似で……やった。

・で出来たのがこの2パターン、青が先に作ったやつ、赤が青い方じゃ書き切れないかもと思ってあとで作ったやつ

※めちゃくちゃ字が汚い

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・別ジャンルで漫画描いてる友人(94履修済み)にこの2枚を見せながら相談に乗ってもらった。ちゃんとプロット組み立てて書いてる人に相談しようと思って画像を作った。普段はどばーっと書く順にエピソードとか書きたいとことか書いてというめっちゃ雑なプロットもどきを作ってた。

・赤の方が萌えどころは多いし読んでて楽しい本になるかな……書きやすいかな……と思ってたんだけどバッサリ一発で「赤は逃げでしょ」と見抜かれたので青にした。(その時点で気持ち的にはやや赤に傾いてたのでびっくりした)

・「確かに萌えどころは多いし同人誌として正解かも知れないけど君がやりたいのは青のかっこいいやつでしょ」って言われた。はい……

・ちなみに表紙の最終調整(文字サイズとか配置とか)の相談にも乗ってもらった。というか毎回表紙の最終調整は助けてもらってる。今回は本当にお世話になりました……

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・で最終的にこんな感じになった、書こうと思ってプロット立て始めてからここまで来て書き始めるまで一週間くらい。楽しかった。

・左はプロット、真ん中はエピソード、右は伏線とか意識して対比させるポイントとか……って思ってたけどカオスになった。

・一番安いiPadだからペン先の遅延がぼちぼちあって画像大きくなるにつれえらいことになっていったけど思いつくままガンガン書き込めるのは良かった。今回でテンプレートはできたのでまた作りたい。

◯感想

 今回も楽しかった〜〜〜〜!!!! ちょっとまたがっつり働き始めて忙しくなっちゃったのでもうこれとかヒヨシ本みたいにヘビーな本を作ること出来なくなっちゃうかなって思ったらちょっと寂しいけど、でも全力投球して作ってよかったなー!! って思う。本当に書く前も書いてる間も書き終わったあともずーーーーっと楽しい本だった!!

 分厚い本が出せなくなってもずっと楽しいオタクでいたいなーって改めて思った。ずっと楽しいオタクでいます。

 あっあと本誌でカズサが本格的に動き出した? のか? みたいなことが多かったので今のうちに自分の幻覚を形にしておきたかった。本誌、ただでさえ毎週楽しいのにいつまたカズサが投下されるかわからないヒリヒリ感まで味わえるなんて、なんてお得なんだ……これに加えてアニメまで始まってしまうの本当ですか? 助けてください。

 とりあえずいまはアニメとピアス届くのが楽しみ!!ロナくんの誕生日の数字分だけ買ったので8/8やって遊べる。やったぜ。

感想フォームへのお返事

 感想ありがとうございます!
 ロナルドくんのあの健やかさの土台が幼少期の両親との関わりによって育まれていたりしないかな…と思ってああいう形になりました。ナチュラルといってもらえて嬉しいです! ヒヨシとして違和感のない動かし方ができていたらいいなと思います。
 新刊についてもありがとうございます〜自分では今回も楽しく書いて読んだので、次も一緒におもしろがってもらえるものになっているよう祈ってます。

AKIRA観てきた

AKIRAのことなんにも知らないで映画見た人間が見た直後に書いた雑感。おそらくなにもかも間違ってる。

 いやアニメ映画の文脈〜!!!!になった話

 去年のAKIRAの日〜とかジャムおじさんがバイク乗ってるシーンAKIRAっぽい〜みたいなそういうのでちょいちょいタイトルを見るので気になってはいた。Twitterリバイバル上映すると見かけたので仕事帰りに観てきた。ちなみに「さんをつけろよデコ助野郎」の元ネタだったというのはもぎりのとこで知った。いまもぎらんけど。

 レディースデイの割に高いな〜リバイバルだからかなと思ってたらなんかいいシアターだったっぽい。どこがどういいのかの説明CMみたいなやつあったんだけどすごい面白かった。黒の深さすご〜になった。  あと音良くてよかったな〜暗転切り替わりの時の音とか無音とのメリハリすごかった。全方位から聞こえるやつ。なんかもう環境だけで楽しかった。映画館楽しい〜
 映像の迫力も一から十まですごかったし謎の多さに対して全く退屈させないつくりなのもめちゃくちゃ面白かったんだけどやっぱりいろんなものに影響与えまくってんだな!? ってところが一番最初印象に残った。いや時系列知らんから逆もあるかもだけどとりあえず観ながら思い出したのはもののけ姫と鬼滅。エヴァも若干思い出した。なんというか時代を感じた。古臭い的な意味ではなくて。AKIRAがそれを作ったのかAKIRAにそれが反映されたのかは知らないけど当時の人これ観てめちゃくちゃアガったろうな〜って思えるのか面白かった。
 あと豊かな時代にいくらかの必然を伴って作られた映画だなと思った。今は絶対にこういうテーマの作品は自然発生的には出てこないでしょ。近いものが出たとしても飽和は描かないしそういう目で見ると最近の作品に共通するテーマとか空気感てなんだろうと思った。30年後にいま映画館でかかってるものを見返したら簡単にわかるのかな。それとも30年後まで生き残ってる作品にそれが反映されるのかな。
 この映画の中で足りないと叫ばれてるものは相変わらず今の世の中にもないように思えるし物理的な豊かさもないなあと思う。いやでも絵に描いたような学級崩壊とかそういうのはないかな。あと市民運動。学生って言われてたしあれって全共闘とかあの辺を受けての描写? 詳しくないのでわからん。
 新興宗教の教祖っぽい人が「火による浄化を恐れてはならない」みたいなこと言ってたのに最後死ぬ時に「死にたくない」みたいなこと叫んでたのがよかった。ああいうの好き。
 あと名前わからんけどバイク燃やされたやつ好きだったな。ヤマガタくんも好きだったけど死んでしまった……なんというか死ぬためのキャラ、死ぬためのキャラでよかったな。テツオのためのキョウコとか。あの建設会場までいくガッツ見せたからなんか役割あるんかなと思ったら死んじゃってびっくりした。キョウコの死に方が一番怖かったかもしれん。ジューサーバーのミキサー思い出した。

 金田は最高だった。主人公〜!!人間〜!!!!ってなった。いや人間のメンタルではないけど人間性を失わなかった。後半まで痛覚があるタイプの主人公だった。  正直途中まで「あーこれアキラと金田がこう融合みたいなのになってテツオと対決するのかな〜」って思ってたら最後までバイクとあのバッテリー充電式のビームみたいなやつで戦っててよかった。最後まで降ってくる瓦礫に対して「うわー!」って言ってるやつでよかった。良い主人公だったな。ああいう主人公も好きだ。
「あいつは俺たちの仲間だ! 俺たちが始末をつける」みたいなセリフとあと最後にテツオに「助けて」って言われて突っ込んでいくとこよかった。あそこらへんうわってなった。よかったな〜
 最後ボロボロになったバイクが映るところ、あれもうお釈迦になったのかと思って「あ〜今まであったものは壊れてそこから新しく始まる的な……?」と思って見てたら最後ボロボロのバイクで走ってて大好きになった。変わらねえ〜金田の変わらなさ本当に尊いものだと思う。  あと最後の方だと天の階の描写すごいよかったな〜まん丸な光が落ちてるところ。サーチライトに照らされては撃ち殺される人間をあれだけ出しまくった上でのあの光。うめ〜〜〜〜ってなった。青空が見えるのってラストだけだっけ? わからん。ただ綺麗だなと思った。ガラス張りのビルに移るところから始まるの。夜は夜景の光を構成していたガラス張りのビルに青空が映るってすごいいいよな。
 あとあのスネ夫ポジ的な、バーで生き残った方のヤマガタが死んだの教えにきてくれたやつ。あのこのバイクに火がつくところよかったな。あそこで自分のバイクのバッテリー使わん金田なのがよかった。金田が最後まで大義を掲げないし特に成長とかもしないしケイを守ろうとしたりするのにも特に理由がなさそうなところ。  ヤマガタのバイク燃やすところ絵に描いたようなヤンキー文脈でよかった。なんというか金田、最後まで金田の等身大の価値観で生きてたところがよかった。

 あと大佐! 大佐……生きててよかった。第三次世界大戦から生きてた人だよね? 生き残るというか生き残っちゃう人なんだろな、生きててほしいな。
 大西博士だっけ? あれが最後まであのキラキラしたやつとか見ながら死んでいったのよかった。あれは死んだ方がこう納得できるキャラだよね。あれが報われないところ好きだな。
 リュウさんもあんまよくわからんまま死んじゃったな。死ぬシーンめちゃくちゃ力入ってたのはわかった。路地裏まで追っかけてくるところ、あの政治家? の心臓病を患ってるおじいちゃんの見た幻覚だと思ってたらお腹撃たれてたけどまだ生きてたのびっくりした。お金? 小切手? なんかすごかったな象徴的で。象徴的なことがわかっただけでなんの象徴だったかはわからん。あの政治家の大事に抱き込んでたお金はリュんみたいな人達の血で汚れたお金だったとかリュウさんたちは結局ああいう人たちのお金のために使われたとかそういう? わからん
 なんか他にもいろいろ思ったけどそろそろ電車が最寄りに着くので終わり。

Googleフォームへのお返事

9月3日にGoogleフォームに感想をくださった方へ

 はじめまして。このたびはご感想ありがとうございます。

 激しい言葉を使わずに、というのはヒヨシ視点で書く上で心掛けたことなのでそれを読み取っていただけたこと、その上で感情を汲み取っていただけたこと、どちらも大変幸せです。
 カズサについてはまだわからないことも多い中、こうだといいな〜もかなり詰め込んでしまったので受け入れていただけてよかったです。ヒヨシとそういうところが違ったら楽しいです。
 兄弟との距離感含め、ヒヨシのキャラ解釈として納得していただけたというのもとても嬉しいです。
 長い話にもかかわらず、両親がいた頃の描写とかなり後ろの描写とを繋げて丁寧に読んでくださってありがとうございます。なにもかも書きたかった通りに読んでいただいて、お礼以外にお伝えしたいことがなくなってしまいました。
 原作のように明るい話を書くのはどうにも苦手で、細々したところまで暗くなりすぎないようにと苦心したのでその部分を気に入っていただけて嬉しいです。
 見返しの工夫も楽しんでくださってありがとうございます。見つけてもらえるといいな、と思いながら作りました。

 Googleフォームを作るのは初めてで、自分でもちょっと機能するかハラハラしながら作ったのでご感想最後まで受け取ることができてよかったです! 本当にありがとうございました。

お題箱へのお返事

 月曜の夜、私宛のお題箱に4通のメッセージを送ってくださった方へ


 はじめまして。このたびは素敵なご感想をどうもありがとうございます。本当に素敵な言葉を、こんなにたくさん贈ってもらえてとても嬉しいです。
 以下は蛇足めいたお返事の続き、というか単なる萌え語りになります。読まなくても大丈夫です。


 ヒヨシの適当なところとか、でも本当は人が良くて、他人のことも考えられるところが人間臭くて好きです。そういう自分の好きなヒヨシの一部分が小説を通して伝わったことが本当に嬉しいです。
 お子様ランチの話は知り合い以外が本を買うことはないだろうと思っていたときに「それでもこの部分はかわいく書けたから誰かに読んでほしいなあ」と思ってアップしたところなので、かわいいという感情を喚起できたことを誇らしく思います。最高にかわいいと思って書きました。
 正直子ロナルドくんのことを世界一かわいいと思って書いたのでたくさんかわいいと言ってもらえてはしゃいでます。子ロナルドくんのかわいさが少しでも書き表せていたならよかったです。本当にアホで素直でおもしろくて、世界一かわいい男の子だと思います。
 ヒヨシにロナルドくんたちをかわいがらせすぎたかとも思ったんですが、やっぱり写真なんかを見ると(ロナルドくんにはストレートに伝わらなかった部分も多かったかもしれないけど)物凄くかわいく思ってただろうな、かわいがっただろうな、かわいくてたまらないからこそあんな風に今もカッコつけちゃうんだろうなと思います。本当に大事だし大好きだし愛してて、だからこそから回ってしまってほしい。
「ずっと好きでいて欲しい」という文字列が切なくて愛おしすぎて初めて拝読した時は涙が出ました。ヒヨシにあそこまで愛されているとは思ってもみない(個人としてのヒヨシからなにかを与えられることを求めてない)ロナルドくんと、ロナルドくんに好かれていたいヒヨシが好きなので……
 心配性なヒヨシいいですよね。毎回珍走団の心配してるのはたから見るとバカらしすぎて本当にかわいいし、本人は真剣なところがとても愛おしいです。好きすぎてそういうシーンをしつこいくらい書いてしまったので、たくさん書いたことを喜んでいただけてよかったです。

 カズサについてもありがとうございます。正直カズサ絡みのシーンは本当に自分の「カズサがこんなキャラだったら嬉しいな〜!」という願望が爆発してて恥ずかしいです。
 ヒヨシとカズサの対比についても気付いていただけて、その上「見る目に迷いがない」とか「本当の自分というものに自信がない」とか、こちらも素敵なまとめ方をしてくださってありがとうございます。「エンドロールの後に顔を出して種明かしをする黒幕」という説明があまりにもかっこよくて一人で想像して劇場で見たすぎて泣きました。食べきれなかったポップコーンをつまみながらダラダラとエンドロールを眺めて、最後のカズサで情緒をめちゃくちゃにされて呆然としながら同じ映画の次の回のチケットを買いたいです。(幻覚)

 この小説にたくさん心を動かされてくださってありがとうございます。私は一度公開した小説は好きに読んでもらいたいし、細かい部分は人の感想を聞いて「へー! なるほどなー!」となるようなタイプなのでむしろいろんな見方を聞かせていただけた方が嬉しいです。(でも本当に今回のご感想はむしろ「なるほど……なるほど……そっか……そうなんだ……」とうんうん頷きながら読みました。自分で書いた小説のはずなんですが……)
 装丁についてもお気遣いありがとうございます。読みづらくなかったならなによりでした!

 本当に、ヒヨシというキャラクターが好きで好きでたまらない気持ちで書いたので、より一層好きになった、というご感想がなにより嬉しいです。本当に魅力的なキャラクターだと思いますし、そういうヒヨシを通してこうして言葉をいただけたことは本当に幸せです。こちらこそありがとうございました。

2020年に出した本

自分用備忘録。割と簡単に画像を載せられることに気付いたのではしゃいでる。

「きのうのはなし」 f:id:mz_tmk:20200824112021p:plain  出したの最近だけど一番長いから一番最初

[ ページ数 ] 368
[ 本文用紙 ] スカーレットノベル 33.5kg
[ 表紙用紙 ] 色上質 最厚口 アイボリー(クリアPP)
[ カバー用紙 ] コート(オーロラ) 110kg
[ オビ用紙 ] マットコート(ユーライト) 110kg

文字数42×18
源暎こぶり明朝v6サイズ8.0
行間4.0
天地14/15mm
ノド小口15/13mm
見出し
大はんなり3.0/中こぶり1.5/小こぶり1.0/奇数ページ上表示大見出し
ページ数表示下

・小口やや広
・ノドこの厚みなら◯(もう少し狭くてもギリいける?)

・タイトル
 悩んだ。本屋さんで目についたタイトルとか単語とか片っ端からメモして10通りくらい作って友人に相談しつつ決めた。「明日の練習」と「さんかくの家」は気に入ってたんだけど全体のタイトルにしちゃうと変にカラーが決まっちゃうので章題に使い回し。「明日の練習」は章題にしてみたら全体につけるのとは意味合いがガラッと変わったのおもしろいな〜と思う。ちょっとヒヨシの話にしてはかっこいい系に寄りすぎたかなと思うやつもあるけどギリ内容とは合わせられたかなと思ってる。「面影に立つ」と「薄明を視る」が難産だった。ありがとう日国大。
「きのう」=書いてあるのは全部過去で決めたんだけど最後に小説の中身全部がヒヨシがラストで見た夢というふうにも取れるようにしたのでそういうあれ。
 そこそこフラットにできてよかった。

・表紙について
 以下ボツ表紙とか間取りメモ f:id:mz_tmk:20200824111816j:plain f:id:mz_tmk:20200824111839j:plain f:id:mz_tmk:20200824111852p:plain f:id:mz_tmk:20200824111915p:plain

 最終的にはそらゆめさんの「ミニチュア感あるやつとかよさそう」というアドバイスを受けて2枚目のを再利用していまの形になった。その節はめちゃくちゃありがとう。自分で作ったにしてはよくできたなと思ってる。お気に入り。印刷したら黒の主線がちょっと膨らんで凹凸がついたのも想定外だったけど反射させたときに面白いからよかったと思う。かわいい。
 裏表紙のバーコードはISDNさんにお世話になりました。いつかISDN読み取れるレジ機能あるアプリとか出たら楽しそうだなと思う。これからも使いたい。(おふざけじゃない本には)
 商業本っぽいデザイン目指したんだけど怖いからがっつり同人誌って入れたりとかあらすじの最後に注意書き入れたり注意書きの直しに時間食ったりとか本文は5月に終わってたのに入稿間際までなんだかんだドタバタしてしまった。

 カバーの折り返しの登場人物紹介も気に入ってる。こういうとこで遊ぶの好き。

・書いてるとき
 書いてたのは10月終わり〜5月半ば、2月と4月はなんにも書いてなかった。1万文字ごとに記録つけたからスピードが落ちていく様がわかって面白かった。
 書いたというか考え始めた理由についてはあとがきに書いた通りロナルドがなんでいまのロナルドになったのかが気になったから。自己肯定感絡み。女にモテないと思ってることへのドラルクの分析が好き。美人局の傷はロナルドくんのせいじゃないけどめちゃくちゃ間接的にロナルドくんが絡んでたらいいな〜って思って絡めた。とんだ風評被害
 あと名付けの話が好きなので。「ロナルド」という渾名をつけたのが今もロナルドを撮り続けててロナ戦よりも前から「退治人ロナルド」を発信し続けていたカメ谷だったら熱いなと思います。でもロナルドの名前ださない縛りはキツかった。出来たら「×××」のところ(5箇所くらい? あった気がする)全部うまいことごまかしたかった。
 話はズレるけど「吸血鬼すぐ死ぬ」はロナルドがドラルクと出会わなければ始まらなかった物語だけど「ロナルドウォー戦記」はドラルクと出会う前から存在していた物語であるというところがなんだか無性に好き。
 ロナルドの退治人服が赤色をしていることや見習い時代はマントに短い一つ結びをしていたというところやばいなと思う。帽子やマントを脱いだことで(フクマさんに切り裂かれたことで?)だんだんとヒヨシから離れていくんだなあと思っていたんですけどでも肩のケープっぽいパーツはヒヨシですよね……となる。永遠に憧れの対象なのか? 30年後も? その辺どうなん?
 嘘世界と30年後世界のヒヨシについて知りたい。

・ボツにした話
 本当はロナルドが実家からピアスを持ち出す話も書きたかったけど一巻が出た頃とヒヨシとロナルドの設定変わってそうだなと思ってやめた。あとヒヨシ視点だとそのエピソードはあまり重要じゃないか、あるいはあまりに重要すぎて明確に記憶しておこうとしなかったり思い出さないようにしてたりしそうだなと思った。でも今思うと逃げだったかも。ちゃんと考えて買いたほうがよかったかな。ヒヨシが週バンでロナルドが自分のピアスつけてるのに気付いた話とか。でもそもそも格好がなー
 ロナルドが図工か美術の授業でメビヤツ似のハンコをつくる話もちょっと書きたかった。おうちでヒマリちゃんと年賀状におさせたかった。
 あとヨモツザカの話、ヨモツザカに「無辜」と言われて意味がわからないヒヨシが書きたかったけど入れるタイミングなかったので本筋と関係ないし削って軽い説明だけ入れました。他にもVRC開設の経緯とか吸対のシステムとか上下関係とかについて書いてみたかったけどやっぱり本筋と関係ないので削った。ヒヨシがカズサのコネで吸対入ったって噂されてたところから人たらしの技術であっという間に馴染んでいくところも書きたかったけど多分ヒヨシ視点ではあんまり特別なことしたつもりはいだろうからああいう形になった。
 あとロナのブログ読む話でひとつ書こうと思ってた。数行で済ませた。

 改めて見返すとまあだいたい削ってよかったやつだ。よかった。

 ボツというか最初からはっきり書くつもりはなかったネタ。父親とロナルドのタバコの銘柄は一緒(Shinyokohamarlboroのメンソール)でヒヨシは同じ銘柄の普通のやつ。マルボロといえば赤いパッケージだけどロナルドくんはメンソールなんだなと思って。(Shinyokohamarlboroはメンソールも赤いパッケージなのかも知らんが)
 あとロナルドくんはヒヨシが父親と同じ喋り方(名古屋弁)をするのでぼんやりと父親とヒヨシが似ていると思ってるけどヒヨシは性格とか体格とか目元とかでロナルドの方が父親似だと思ってる。けど内面で本当に父親に似たのはヒマリみたいなことをぼんやり考えてました。これもヒヨシは意識しないと思うので直接は書かなかった。

 ネタを思いついてから本が出るまで一年近くかかったけど楽しい一年だった。ひろさんそんだけ付き合わせたんだと思うと申し訳なさで埋まるが。(今みたらヒヨシの人生の幻覚見たのは10/20だった)これから94で本を出すかは微妙だけど原作はこれからも本誌で追うと思うしアニメも楽しみ。野球拳がミキシンだったら冥福を祈ってほしい。
 あとこの一年の間に原作読んでくれたフォロイーも全員ありがとう。あまりにも幻覚を見過ぎでTLの外に出られなくなった中でフォロイーの2割近くが既読者というのはめちゃくちゃありがたかったです。これからも騒ぐと思うけど引き続き私の狂態をお楽しみください。


「Get it on!!!」 f:id:mz_tmk:20200824112053j:plain ■ページ数
44ページ
■表紙の種類
アートポスト紙・200kg
■本文の種類
書籍用紙90kg(淡クリームキンマリ)
■オプション加工
・表紙・PP加工(クリアPP)

 こういう蛍光ぽいピンクてCMYKだと出ないかなと覚悟してたんだけどマゼンダ強めでガッツリドギツピンクになったので満足。エロ本はピンクという固定観念
 裏表紙に付箋っぽいスペース作って説明書いたり中表紙にレポート用紙使って報告書っぽくしたり本当に遊び倒した本。身内向けのつもりだったので好きにやってしまった。

文字組24×20×二段
こぶり明朝8.5pt
行間4.5pt
天地15/15mm
ノド小口20/15mm
見出し特になし
ページ番号下
・ノドあと3mm詰められる
・小口広いけどこんなもの?

 あとがきにも書いたけど推しカプのエロ本が読みたかった。読めた。満足。体の関係を持ってほしいレベルの推しカプというものを得るのが8年ぶり? くらいなのでタガが外れた。公式で寝てた鸚鵡組以来ですね。公式で寝てないけど寝てほしい定義で行くとさらに5年くらい遡る必要がある。BL、読むだけならめちゃくちゃ読むのに不思議だ。
 タイトルはスラング(?)タイトル決めてから書き出したんだけどラストシーンでうまいこと使えたのはよかった。衝動のままに書いた。10年近く歴史系にいたので英語タイトル使えるの嬉し〜
 表紙は書類破いて的な。あんま画質良くない素材使ったけどまあなんとかなったのでよし。  同じ世界線でまだ色々と書きたいような気もこれで十分満足したような気もする。とりあえず5年以内に自然消滅してくれ。
 まともに年齢制限かかるもの書くの初。どうなることかと思ったけど思ったより楽しかった。完璧に上の本の原稿終わらせた反動で出した本。(誤字脱字チェックを知人らにお願いしている間に書きました)
 やっぱ二段組よりは一段の方が好きなんだけどこの本に限っては冒頭の一段目に抜粋二段目から本文がすごくかわいいなと思うので二段組で出してよかった。ああいうのありきたりだけど好き。


「山梔子」 f:id:mz_tmk:20200824112219j:plain [ ページ数 ] 48
[ 本文用紙 ] 淡クリームせんだい 70kg
[ 表紙用紙 ] 上質紙(しらおい) 135kg
[ カバー用紙 ] コート(オーロラ) 110kg
[ PP加工 ] カバーにマットPP加工

 6月(又兵衛の命日)に出した初文庫本。2年くらい前に書いたはいいものの出られそうなイベントがちょうどなくお蔵入りしていた。「きのうのはなし」の後押ししてくれたのと同じくにしなさんの勧めで通販だけだけど本にした。
 本人たちが永遠に知ることのない事実や相互関係を読者だけがわかる奴めっちゃ好き。

 文庫の練習として出した本。ページ数が少なくて後半ちょっとめくりづらい。(カバーと一緒にバサってなる)でもページ数が少ないおかげでページ切り替えのタイミングとかこだわれたのはよかった。かわいい。最後の見開きは完璧に趣味。最高。身内に刺さったから満足。
 次から文庫は100ページ超えるときだけにする。

 中身というかカバー下とか章の副題でもう出してるけどタイトルはクチナシの語源の説の一つの「くちなわ(蛇)の梨」と「死人に口無し」から。又兵衛が欲しがったものとそれを理解できないしもう聞くこともできない官兵衛の話。
 あの二人のこと永遠にわかりあえないと思ってるからハッピーエンドになってもらうためにはわかりあうことを諦めてもらうしかない。これが私にとっての黒田主従のハッピーエンドです。
 ずっと使いたかった史実ネタを絡められたのうれしい。うまくいったと思ってる。


 以上。なんかほぼ身内向け本とはいえ今年まだ1/3残ってるのにいっぱい出したな。まあ去年から書いてたやつとか一昨年書いたやつとか含まれてるからだろうけど。本を作るのは楽しいのでこれからも破産しない程度にやっていきたい。破産理由、人の同人誌買いすぎてならまだしも自分の同人誌なの嫌すぎる。
 色んなモブ女視点のヒヨシの側面本とか誰が読むんだよな本を出したいがやりたい装丁が文庫+帯なのに対して書きたい長さが文庫向きじゃない。でも文庫の表紙真っ赤な色上質にしてカバーは柔らかめな色のやつやりたいな〜!!帯は花でさ。若ヒヨ本でフラットな本を出すことにベストを尽くしたから今度は尖りまくった本を出したい。尖るというか偏るというか。趣味丸出しの。

秀吉とヒヨシについて備忘録

 こんにちは。これまで通ってきたジャンルと全く接点のなさそうなジャンルにハマり、「新鮮で楽しいなあ」と思っていたら推した男が8年前に推してた男の生まれ変わりだったオタクです。

 8年前にハマってた男は豊臣秀吉(史実、というか創作戦国)
 3ヶ月前にハマった男は週刊少年チャンピオンで連載中の「吸血鬼すぐ死ぬ」ヒヨシです。

 多分ちょっと詳しい方なら「いや最初に気付けや」と思う名前の並びなんですが、見た目は銀髪青眼、イケメン、主人公にとっては憧れの兄、一応秀吉と共通するものとしては低身長という特徴もありますがそれくらいです。
 ただ最近ヒヨシについて考えるほど過去の男の面影がちらついてしょうがないのでここでちょっと秀吉とヒヨシについて自分なりの考えをまとめておきたいと思います。
 順番は重要そうなポイントから思いつくまま。

 あと以下も以上も私の主観と憶測と願望と幻覚混じりですので、判断は各自にお任せします。

・名前と誕生日
 まず一番の特徴である「ヒヨシ」という名前と100話記念で掲載されたキャラクター大全およびツイッターの「#吸血鬼すぐ死ぬあばよ2018」で確認できる「1月1日」という誕生日について。
 幼名日吉丸、誕生日は一月一日、という二つの要素はいずれも江戸時代の読本、「絵本太閤記」の創作であると言われています。
 おそらく「日吉」と日吉権現や太陽を連想させるものとして、また「ヒデヨシ」という名前に近い響きをしているということで「ヒヨシ」という名前と「1月1日」という誕生日になったのだと思われます。

 ちなみにこの「絵本太閤記」、はじめは一冊で完結する予定だったのが、世間で評判になりその後も続編が次々に出版されました。ちょっとロナ戦みたいですね。(まあフクマさんは初めからシリーズ化させる気満々だったかもしれませんが)
 まあ「本当のことではないが嘘でもない」くらいのロナ戦と違い、実際にどうだったかを切り捨てて秀吉をかっこよく描くために幼名も誕生日も捏造しているあたりはむしろ「アニキ・サーガ」を連想させます。
 初のメイン回に「サーガ(物語)」という語が入っているあたりにも、「日吉丸」という架空の物語で生まれた名前から名を付けられたヒヨシらしいですね。史実の豊臣秀吉本人の名前ではなく、語られるための物語の中の、語られるものだからこそ付けられた名前というあたりが。


・右腕の怪我とそれによる握力の低下
 こっちは逆に信憑性はそれなりに高いけれど、秀吉本人は隠そうとしていたらしい情報についてです。
 秀吉は右手の親指が一本多い多指症だったといわれます。この多指症、当時武士階級であれば幼いうちに切り落としてしまうのが普通なのですが、貧しい家の生まれだった秀吉は大人になってもこの指が残っていたようです。(信長からの呼び名も、実は「猿」ではなく「六ツめ」だったという話もあります)
 これが事実だとすると、宣教師と前田、それから朝鮮の記録にしか残っていないあたりかなりタブーな話題で秀吉本人も後世に記録を残さないよう気を使っていたのかもしれません。

 もちろん共通点は「右手の障害」というだけなので明確に秀吉由来と断ずることはできませんが、名前と誕生日の方が「本人をよく見せるため」のものであるのに対して、ヒヨシの恥ずべき過去を象徴し、またロナルドに対してはそれを隠すために与太話でごまかした傷が「恥として隠そうとしたもの」である多指症と繋がるというのが面白く感じられたため記しておきます。


・内面について
 まあこの辺りははっきりこうとは言いにくいんですが。
 ヒヨシの性格の中で秀吉との共通点を最もよく表しているのはおそらく「女好き」というところでしょう。あとは半田の「隊長はかっこいいからな」(5巻アカジャ)はじめ、隊員(部下)に慕われているらしいところも「人たらし」の秀吉を彷彿とさせます。
 7巻アカジャでやはり半田から出た「隊長は酒に弱いそうだが、人に飲ませるのは大変うまい」という情報からもこうした人たらしの才能があることを読み取れますね。(酒に弱いところは「弱いそうだ」と伝聞である=半田の前でしたたかに酔ったことがないらしいのに対し、「人に飲ませるのは大変うまい」の方が明らかに半田がそうした場面を見てきたらしい言い方であるところもすごいなあと思います)
 また、秀吉の方も酒を好みはしましたがさほど強くはなかったようです。加えて文禄年間に出した「御掟」(大阪城中壁書)の追加部分の八条には「酒者可随様器、但大酒御制禁事。」つまり酒はそれぞれ自分の飲める分だけ無理せず飲め、とあります。
 まあヒヨシが半田の見ていないプライベートなところでへべれけになっている可能性も捨てきれませんが、正直あのかっこつけなところがあるヒヨシがそこまでして酒を飲んでいるところも個人的にはあまり想像できませんので、この辺りの「酒に対するスタンス」も似通っているのでしょう。(そもそもヒヨシ、酒の席はそこそこ好きそうだけど酒そのものは好きなんだろうか……)


・ヒヨシはどこまで秀吉か
 一口に「ヒヨシは豊臣秀吉をモデルに作られたキャラクターである」といっても初めに述べた通り、おそらく秀吉本人をなぞるというよりはそのイメージや役割がベースに置かれているだけだと思います。ヒヨシが晩年に耄碌して大失敗したり血の繋がった子供というものに執着したりというのも想像しづらいですし。
 作中で明確に戦国時代の人物を意識して名付けられているといえそうなのは「カズサ」とその妹である「ヒナイチ」、そして「ヒヨシ」の3人ですが、関係性として完全に一致しているのは「ヒヨシはカズサの部下である」「ヒナイチはカズサの妹である」というところくらいでヒヨシがヒナイチに懸想しているとかカズサの靴をヒヨシが懐で温めてそうとかそういうことは全くありません。(カズサがヒナイチを政治的に利用する気配は若干ありますが)
 正直今のところこの三人の関係が戦国時代の三人を思わせるような形で動くとしたら話のクライマックスか、もしくは単にモチーフにしただけorどこかで没にされたでもう動かないのかもなあと思います。(明智にあたるキャラクターが登場してカズサが失脚、その後ヒヨシが仇をとってヒナイチと対立、とかそれはそれで見てみたい気もするけどまー多分ないよなあ)

 そんなわけでヒヨシ、秀吉の影はめちゃくちゃに感じますが秀吉本人ではないわけで、ゆえにこれからどうなるのか(どうかなるのか)わからないわけで、今までずっと歴史系ジャンルにばかりハマって「基本的にそのキャラや環境、時代が最終的にどうなるか」がぼんやりとでもわかった状態でキャラを愛でていた身としては戦々恐々としております。
 一方戦国時代意識したネタとか展開とかこないかなー!! ってちょっと期待もしつつ、これからも吸死を応援していきたいです、という無難な感じで締めさせていただきたいと思います。

 一応は頭の中を整理できてすっきりしたー!! 論としてはめちゃくちゃだけど!! 許して!!

※これは作家論ではなく作品論として語ったものです。作者が実際にどこまで考えているかについては検討、考慮しておりません。

同人誌の表紙の話②

 芹沢さんの命日ですね。(新暦
 前に話してから時間が経ったので忘れないうちに。(まあ去年出した方は多分ほぼ忘れちゃったんですが……)
 表紙の話っていうか表紙にかこつけただけのよもやま話って感じです。

・てんしのらっぱ

 芹沢ルート前提の転生山吹組の話。タイトルはフォロワーのフォロワーさんが1発で見抜いてくださったと耳にしたのですがエンジェルストラッペット、いわゆる朝鮮朝顔のことです。ダチュラともよく呼ばれます。
 山崎の幻覚、幻聴などのことを示すつもりでこのタイトルにしました。中表紙の花もこれです。
 遊び紙の色は頭が紫で後ろが黄色なのですが、これも朝鮮朝顔の色に合わせてます。途中どこかで山崎がこの花のことを考えるシーンがあったと思うのですが、そこだと紫と白のものです。(中表紙はこちら)土方をイメージしました。
 後ろの黄色は井吹イメージです。園芸種としてはこの黄色いものがメジャーみたいです。(たしか)
 幕末の象徴としての紫と現実の象徴としてな黄色でした。山崎が幕末の頃の記憶に一区切りつけて今を生き始めるまでの話です。 「Angel's trumpet」の部分にうっすら黄色が重なってるのもこれです。

 割とヤバい花ということもあってタイトルの色はビビッドにしました。特色印刷ができるならショッキングピンクにしたかったです。
 ちなみに表紙の背景、はじめはもっと暗くて灰色とか暗い青(井吹の髪みたいな)だったんですが、友人やらフォロワーやらのアドバイスを受け修正していきました。
 夜のファミレスで数時間私の修正に付き合ってくれたフォロワー各位、本当にありがとうございました……。
 青い部分のエフェクトは水イメージです。水族館とか川とかいっぱい出てきたあれです。
 あと赤と青を混ぜると紫になるので。(最終的にめちゃくちゃ明るくなりましたが)

 あと一応黙示録のラッパも多少意識はしてます。まあ結局山崎が終末だと思ってたものは終末でもなんでもないただ生活だったんですけど。
 私は土方ルートの山吹組を地獄だと思ってますが本人たちがそれを地獄とも極楽とも思わずただの現実としてしか捉えていないところが好きです。土方ルートとは関係性が逆転する芹沢ルートということでそこを逆転させてみました。

 逆転といえば話の冒頭とラストで崩れ落ちる人とそれを上から見る人の関係も逆転させてます。



・行春

 ペーパーに書いた通りタイトルは芭蕉の二つの句から。おくのほそ道で千住だったかから旅立った日の歌と井吹の先祖の出身地である「近江」が入った二つの句です。

 表紙はフリーの写真を加工したり色重ねたり。明治の景色に溶け込む旅人井吹をイメージしました。(タイトルの右側にちっちゃく芹沢ルートのスチルの井吹が描いてあります)これもペーパーで書いたんですが中表紙で同じ景色に井吹がいないのは単に通り過ぎた直後に撮ったものだからです。そういう風にいろんな偶然が重なって記録に残らなかった井吹というものに夢を見てます。

 自分の小説も初めは芹沢ルートの話よ予定でした。(これも没案としてペーパーに全文掲載)

 来年は黎明録発売から10年ですし、ちょっとアンソロとまでは行かなくてもなにか一冊出したいです。出来れば全ルート分。
 また井吹不在の井吹本になったら笑ってください。

(今日語った2冊と井吹不在の井吹本をはじめとする既刊はhttps://mztmy.booth.pm/より!)

プロメアの感想

 書き上げて思ったんですけどマジで思いつくままに書いてるのでなに一つ整理されてないです。
 セリフとかは全てうろ覚えです。
 ガロ編リオ編まだ観られてないです。
 あと多分なんか色々と都合の良いように見てると思います。

 ふせったーとかにしようかと思ったんだけどブログが半年以上死んでたのでこっちにします。
 昨日はまだプロメア見てない薄桜鬼のフォロワさんとプロメア2回目行ってきたので、その感想とか思ったこと。

 プロメア、1回目見る前からTLでめちゃくちゃ話題になっててしかも色んなところに色んな仕掛けが施されているらしいのがすごく興味をそそって、ふせったー使ったプロメア考察ツイートとかブクマしておいて1回目みたあとに読んで、どうしてももう1回みたくなっちゃったんですよね……
 自分は映像から情報を得るというか、映像で示されている情報に気付くのが多分ものすごく下手で、○△はともかく□がどういうところに使われてるかとか一人じゃ絶対気付けなかったし、なんならガロがウィンクしてるところがどこなのかもわかんなかったので、人様の考察ツイートいっぱい読んだ状態で2回目観られたのすごくラッキーだったし楽しかった……インターネットがあってよかった……。

 自分はまあクレイが好きなんで、その辺中心に多分もう100万回くらいいわれてそうなことをひたすら言います。

 ガロにバーニッシュを使ったワープ実験を見せたところ、つらつら語ってるところでずっとクレイの背中が映されてるわけなんですけどあそこのさ〜クレイが右手で左手首をずっと掴んでるのが真ん中に映されてるのすごいぐっと来てしまったし、そのあとに左手でガロを殴るのがまたなんとも……なんとも……
 それ関係だとガロとの対決的なシーンでそれまで左手メインだったのが最後に右手を出すところとか、そのあとにリオが左手でガロの拳を受け止めるところとかまあまだちゃんと整理できてないんですけどぼんやりとなんか意図があるんだろうなと思います。

 あとクレイのコンプレックス的なところにめちゃくちゃ萌えてしまう。
 自分について「醜いバーニッシュ」と言うくだりとか、クレイは自分のことがまるごとひっくるめてはきっと好きではなかったし、だからこそ自分を慕うガロが厭わしかったのだろうかとか。
 クレイが腕を再生しなかったこと、力が暴走してたからすぐには再生しなかったとか、それを人に見られたから治したら怪しまれるとか色々とあると思うんですけど、とにかく義手が吹っ飛ぶのが戦いの中でとかではなくて最後のあのガロとリオの青い炎にやられた? ぽいのが。まあダメージ蓄積とかしてたとは思うしあの炎だけで吹っ飛んだかはわかんないけど。

 あと「バカ」という言葉の使い方、クレイは一貫してそのまんま蔑みの意味で使ってるんだけど他の人のいう「バカ」はだいたいは呆れとか親しみとかが込められていて、リオのいう「バカ」も作中でだんだんとそういう意味を含んで行くようになる過程にぐっときてしまった。

 それと人が避難したプロメポリスでの戦闘シーン、クレイが心なし楽しそうでニコニコしてしまう。いや笑い事じゃないんですけど。(バーニッシュの力は抑えたままとはいえ)わりと力いっぱい暴れてるしこれ他の人も言ってたけど「研究者として自分の発明品を解説するのが楽しそう」的な面もそう。あそこにはクレイが守らなければならない「無辜の民」もいなければクレイが「理想的な司政官」を演じて見せなくてはいけない相手もいない……。
 ガロに「俺の救世主」と呼ばれ続けて、「人類の救世主」になろうとしたクレイ、半ばそうあらねばならないという強迫観念にも似たものをチラチラ見せてきつつ決してそれを「弱さ」と観客に思わせない程度なのが良い。いやクレイにとってのあれ、純粋な罪悪感や贖罪ではなかったのが大きいんだと思うんですけど。決して自己犠牲的なキャラではないしむしろ利己的なところがあるからこそああなったんだろうし。
 ただまあコンコルドの誤り的な「ここまできたら後には引けない」的なところもあったよなあ。

 あとエリスとの関係が割と好きなんですよね。「司政官」「エリス博士」と呼んでエリスが敬語を使うところもあれば「クレイ」「エリス」と呼び合ってエリスもタメ口きいたりもするの、あれあれかなあ、大学の同期とか同じ研究室にいたとかあるんだろうか。分野違いそうかなとも思うけど、エネルギーとしてバーニッシュの炎を、ってエリスが全く考えてなかったところにクレイが提案したんだろうか? とか色々と考えてしまう。
 エリスがクレイを見限った時にクレイが「私情に振り回されおって」的なことを言いながら怒ってるのに、クレイも本当は私情で動きたかったところもあるんだろうかと思ってしまった。  クレイ、バーニッシュとしての衝動も私情も自分の正体も全部抱え込んで、大義を第一に考えていた(その中になにが含まれていたかは置いておいて)けど、大義のために動く以外に身動きが取れなくなってるように見えてそういうところが好きでした。

 あとこれはフォロワさんと話してたんですけど、クレイ、(手元に置いて育てたかどうかはわからないというか個人的にはどっか施設に入れてたのかなと思うんだけど)ガロがグレないようにはしてただろうなと思います。両親を失った状態でガロがグレでもしたらそれは自分のせいになるので……
 ガロの前で「理想的な手本となる清廉潔白な大人」をやっていたクレイのこと考えると居ても立っても居られなくなるし、それを見て正しく育ったガロが、ガロの思うような意味では「正しくない」クレイを止めるというの、ある意味でクレイが子育てというか情操教育大成功しちゃった証明みたいで皮肉かなと思います。
 クレイがガロの前で演じていた(?)のが「クレイの思う理想の大人」で、それを「自分の救世主」として尊敬して育ったガロの価値観が「クレイの思う理想の価値観」だとしたら、ガロが「自分が殺した博士の発明品」と「醜いバーニッシュ」の力で本当に「人類の救世主」になってしまって、ってもうクレイにとっては最悪の結末で、だからこそ救われるのかなどと思いました。まあ半分以上妄想なんですけど。

 クレイはその手でガロを殺せないんだな、と思います。クレイが博士を殺したのは大義のためだったけど、クレイがガロの両親を殺してしまったのは明確な「失敗」でありそこには一欠片の正義もないので。
 だからクレイはガロに正しい人間としての自分を見せながらも手を下せなかったし、自然に死んでくれることを願うしかなかった。ガロの直接の死因はクレイではいけなかった。
 ただガロをバーニングレスキューに入れたこと、クレイは「死亡率が高いから」と言ってたけどガロは「あんたのおかげでバーニングレスキューにもなれた」的なことを言ってた気がするんですよね。(だよね?) 「(クレイにとっては醜い)バーニッシュから(そうではない)人間を守る」という仕事、まさに左腕を抑えたクレイの右腕なのでは、と思ってしまうんですけど、それがガロが望んでのことだったら、クレイが勧めるより前にガロがその望みを打ち明けていたら、まあ仮定なんですけど、その時のクレイの心情ってどんなもんだったのかなと想像しちゃいますね。 「自分の罪、失敗の象徴」が「そうした瑕疵を持たない(自分の)理想の姿」になってしまったんだとしたら?
 同じ話を2回した気がするけど読み返すのが面倒くさい。

 あと勲章の話。「あげるにふさわしい人間が、もらうにふさわしい人間に渡すのが勲章だ。いまはどっちもふさわしくない」的なガロのセリフ、すごく好きです。
 ガロがクレイを「勲章を渡すに相応しくない人間」と断じた瞬間だし、ガロの胸から勲章が消えたこと、クレイの表向きの姿が否定されたというか壊れたというか、ガロの中でクレイへの完璧な(盲目的な?)敬意や愛情やその他の終わりというか。
 勲章という他者から見える位置に置かれた正しさというか功績というかを具現化したものがああなったことにグッとくる。
 あとガロが自分自身をも「相応しくない」ということ。勲章が与えられた理由、簡潔に言うと「市民の生活を脅かすテロリストを捕らえた」だと思うんだけど、別にそれ自体はおかしくはないというか、やったこと自体は別に間違いではなかったと思うんですよ。行為のみを切り取って見るなら。
 それでもガロが自分を「ふさわしくない」と言ったこと、「自分の無知をよしとしない」という点でめちゃくちゃいい男だなと思いました。いやそりゃ自分が良かれと思って捕らえた相手が非人道的な扱い受けてると知ったら知らなかったとはいえそういう扱いを受ける原因を作ったことを悔いるのは普通の心の動きかもしれないんだけど、そこで言い訳もしないし正当化もしないというか、ある意味でものすごい潔癖だなと思いました。いや明らかにそういうキャラだけど。 「火消しバカ」というキャラクターだけど人として愚かではないし、思考放棄もしてないところが好きです。

 あとマッドバーニッシュ初登場シーンのリオめちゃくちゃかっこいいなと思った。事前情報堺雅人が黒幕しか知らなくてあとで知ったリオの性格は割と想定外だったなと思ったんだけど、それでもそれを知った上で見てもやっぱリオかっこよかったよリオ……最後までかっこよかったです……リオ様呼びわかる…………ドキドキした…………。
 龍というモチーフのせいかもしれないけどリオの神様感というか、バーニッシュの希望であったというところ含め「救世主」的な面が割と元から備わってた感じある。のか? わからない。でも希望を託された人だし信じられた人なんだよな。バーニッシュたちに。